PK10计划人工计划

图片

読み物

11月25日(木)アセンブリーアワー講演会「「あいうえお」から「芥川賞」まで —言語と文学の冒険の旅路(ゲスト:李 琴峰氏)」レポート

アセンブリーアワー講演会は、京都精華大学の開学した1968年から行われている公開トークイベントで、これまで53年間続けてきました。分野を問わず、時代に残る活動や世界に感動を与える表現をしている人をゲストに迎えています。
 
2021年11月25日(木)は、作家?日中翻訳家であり、今年第165回芥川賞を受賞した李琴峰氏をゲストに迎え、アセンブリーアワー講演会を開催しました。題は“「あいうえお」から「芥川賞」まで——言語と文学の冒険の旅路”とし、李氏が自身の日本語学習歴や氏の考える日本語の面白さや美しさについて語りました。
 
※本イベントは、学生?教職員のみ学内会場で聴講可とし、学外?一般の方にはオンラインで公開しました。

「「あいうえお」から「芥川賞」まで——言語と文学の冒険の旅路(ゲスト:李 琴峰氏)」講演レポート

李さんは日本語を一つも知らない状態から、15歳の時独学で日本語の学習を始められました。それから日本語能力検定の一級に受かるまで5年。27歳で日本語文学の作家としてデビューし、先日ついに31歳で、非母語話者として芥川賞を受賞されました。この間約16年。李さんがどのように日本語と出会い、学習を重ね、小説を書くようになったのか。講演会ではその経緯が紐解かれました。
初めて日本語に触れたのは、4歳か5歳の頃。歌謡曲だったそうです。好きだった日本のアニメ?ゲーム、街中の看板の“エセ日本語”など、子供時代から日本語は身近にあるもので、李さんは暗号のような神秘性を感じていたと語ります。
自力で日本語の勉強をスタートした中学時代には、ポケモンの名前でカタカナを覚え、アニソンの歌詞を書き出してアルファベットで読み方を書き込む学習法も編み出しました。高校では日本語学校に通い始め、スピーチの練習では藤村操の「巌頭之感」のような難しいテキストも好んで取り組んだそうです。大学では中文とダブルメジャーで日文を専攻。日本語の小説も読めるようになり、日本への交換留学も経験しました。
そして日本語を学び始めてから約7年、日本の大学院に進学した李さんにとっての日本語は、生活?仕事に必要な言語となっていたそうです。その後日本で就職し、ある日、通勤電車の中でインスピレーションを受けて書き上げた、初めての日本語小説で作家デビュー。これまでの李さんの人生に絡めて、いきいきとした日本語との関わりが語られました。
また、講演では李さんが学習の過程で感じた日本語の面白さについても、語彙面、表記面、音韻面、文法面などの視点から具体的に語られました。日本語での「左遷」は、古代の中国において左右では左の方を下位にとらえていた事との関わりを見つけたこと。「箸」という漢字は、現代の中国では古文でしか目にせず、また古語で剣を指す「鋏」が今の日本で使われていることなど、日本語では昔の中国語の意味を保存しているような側面があることを発見されたそうです。「風邪」は風のよこしま、「勿論」は、「論ずること勿れ」で当然のこと、というのも面白く感じた。こうしたエピソードを通して、李さんは、日本語に親しみを感じたのは漢字の存在が大きかったと振り返りました。
質疑応答も活発でした。「文学においての自由とはどういうものですか?」という問いに、「文学、マンガ、アニメなどの創作物を通してわたしたちは自分たちの会ったことの無い人や行ったことのない場所、自分が話せもしない言語に触れることができる。それは、文学や創作物のもたらしてくれる一つの自由さだと思う。また、創作表現はリアルの世界では無いので純文学、SF、エンタメなど、縛られずに書きたいものが書けるという“創作表現の自由”もある。」と李さんは答えました。
中国出身で日本文学を専攻中という大学生からは、日本語の小説家を目指しているが、インスピレーションを受けるためには何をしたら良いかという質問がありました。これに対しては「インスピレーションは何もないところから降って来る。どこにあるかわからない。ただ、小説に限らずいろいろな創作物にたくさん触れること。著者がどう表現し、どう世界観を構築して物語を作っているのか。そうした所を観察すること。また、生活圏の外へ旅に出て、いろんな風景、世界、人、言語に触れてみる。そういうところに、インスピレーションが隠れているのではないか。」と答えてくださいました。
最後には「文学で社会を変えようと思われたことがありますか?」という質問がありました。李さんは「私は、そんな大層なことを考えながら書いているわけではない。文学の力だけで社会を変えることは難しい。ただし、いろんな人が作品に触れることによって新たな世界が広がる。文学が、自分が見たことの無い知らない人たちに触れるきっかけになるのであれば、小さい変化ではあるけれども、そういう効果はあるのではないでしょうか。」と答えました。



自分の好きなものを楽しみながらとことん学んで、世界に飛び出し、創作表現で開花させた李さんのお話は、多くの学生を勇気づけたと思います。李琴峰さん、素晴らしい講演をありがとうございました。

お問い合わせ先 CONTACT

京都精華大学 広報グループ

〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
Tel:075-702-5197
Fax:075-702-5352
E-mail:kouhou@kyoto-seika.ac.jp

※取材いただく際は、事前に広報グループまでご連絡ください。

SHARE