芸術学部立体造形専攻非常勤講師 葛本康彰による個展「雪代に濯がれた言葉を」が、京都市上京区のGallery Heptagonにて開催されます。ぜひご覧ください。
アーティストステートメント
今年の冬は例年よりも雪が多く、寒波の様子も違い、
たびたびこれまでの“制作ノウハウ”が覆されました。
作品制作を「人間と自然の関わり」と謳って、冬場の限られた制作時間に身をやつしつつも、
一方では定型化された振る舞いをなぞっていたに過ぎないのかもしれません。
経験や統計なくしては制作が成り立たない一方で、自然と関わるにあたって、
即興性はもっと意識されて然るべきことだったのかもしれません。
本展では、今年の新作から予期せぬ雪の痕跡の残る作品を中心に展示を構成します。
冬から春に向かう会期に、季節の虚実の行き交う場をお楽しみくださいませ。
私にとって作品制作は「人間と自然の関わり」のひとつの在り方であり、
“自分”と“自然”との間に接点を生み出す行為でもあります。
私たちの傍らに当たり前のように存在している重力や気温の変化、
雨、雪といった自然現象との関わりによって、素材が独特のフォルムやパターンを獲得するような制作手法を考案し、実践しています。
私が制作においてイメージしているのは、“人間”と“自然”の二項対立的な関係ではなく、
そこに“素材”を加えた三者間での釣り合いを探るような関係であり、素材に対しては主体性のようなものを感じています。
制作のさなか、“素材”は、私と現象とが出会う、待ち合わせ場所のようでもありますし、
その姿を変形させる現象を私も肌で感じていることからすれば、私の皮膚の異相と呼べるのかもしれません。
こうした制作は目の前の現象と地続きに存在しているはずの、
地球の質量や運動、大気や水の循環のようなとても大きなスケールのものに意識を繋げ、またそれを知覚している身体を自覚し直すような体験です。
そして、素材が獲得する独特のフォルムやパターンは、私たち人間の目では見ることのできない、
世界の秩序や力の流れの在り様なのでしょう。
そのような素材と何かしらの体験や記憶を共有することや、時間を共にする振る舞いを、
私は彫刻と呼びたいと考えています。
作品の発表を通して、人間本位の視点や、見るものと見られるものの分断といった私たちの生活の根底にある意識に抵抗し、身の回りのものに好奇心や想像力を向けるきっかけになるような場を提示することを企図しています。
葛本康彰
葛本康彰
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日程
2025年3月29日(土)~ 4月6日(日)
休廊 4月3日(木)
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時間
12:00~18:00
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会場
〒602-8175 京都市上京区下立売智恵光院西入中村町 523 -
出演?出展者
葛本康彰(芸術学部立体造形専攻 非常勤講師 / 本学芸術研究科博士前期課程芸術専攻 修了)
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予約
不要
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